生成AIの代表格「ChatGPT」がリリースされたのが2022年11月。それから1年も経たない間に様々なAIツールが登場した。
文章や画像を作成するシーンにとどまることなく、映像制作の現場でも生成AIが注目されている。
そんな中、ぞのさんっ率いる映像クリエイター/インフルエンサーとして活動する集団「CREATEE(クリエイティ)」が、AI技術を活用した映像作品の創造に挑む「AI Studio」を開設した。
人気クリエイターが選んだ次の一手はAIだった。
今回はシンガポールに在住中のぞのさんっに、オンラインでインタビューを行い、新たな取り組みに迫った。
AIツールを積極的に使っているクリエイターもいれば、そうでないクリエイターもいるだろう。両者ともに、AIの可能性を考えてもらえれば幸いだ。
ぞのさんっが制作した「空間スキャンによる映像作品」
- 映像クリエイター/インフルエンサーぞのさんっ
1992年兵庫県生まれ。一級建築士として大手建築事務所に5年間勤務した後、宿泊事業で独立。2018年から映像クリエイターとして本格的に始動し、ショートムービーで人気を集める。TikTokのフォロワー数は310万人、Instagramも100万人を超える(2023年12月時点)。現在は映像クリエイター/インフルエンサー集団「CREATEE」を率いて、映像制作や演出事業などを手掛けている。
誰もやっていない領域に踏み出すことで競合がいなくなる
ーーここ1年間で、AIを活用した映像や画像を見る機会が増えました。どのような背景があるのでしょうか。
ぞのさんっ:
伊藤園さんはCMでAIタレントを起用してましたし、PARCOさんも広告にAIを活用しています。いずれも話題になってましたよね。
AIを活用した作品が増えたのは、「クオリティの高い作品を作れる」。これに尽きると思います。もちろん、使えるツールが増えたというのも大きな要因ですが、進化のスピードには目を見張るものがあります。
普段は、ChatGPTはもちろんNeRFやMidjourny、Stable Diffusion、Runaway、Blenderなどのツールを使っているのですが、どれもアップデートの度に、キャッチアップするのが大変ですね。
Stable Diffusionを使った作例
ーー色々なツールを駆使して映像作品を作っているのですね。もともとAIの知見はお持ちでしたか。
ぞのさんっ:
技術的な知識は全くなかったですが、興味があったので触れてみて、やりながら覚えていきました。詳しい方に教えてもらったり、自分で勉強したりして……。
やっていくうちにどっぷりはまり過ぎてしまって、当時は寝る間もなく触り続けていましたね。
なぜここまでAIに足を踏み入れたのかというと、AIを扱っている映像クリエイターがいなかったからなんです。
やはり、事業を拡大していくことを考えた時に、いかに「競争しなくていい状態」にいれるかが重要です。
そのためにも、大きな波が来たときに、すぐに乗れるようにしておきたかったんです。
ーーまだ認知度が低かった時期にTokTokに参入したのも同じような理由ですか。
ぞのさんっ:
そうですね。TikTokが日本でサービスを開始したのが2017年。
翌年の2018年からショートムービーを投稿し始めました。おそらく当時は、ほとんどの方がTikTokなんて知らなかったと思います。
ーー現在のフォロワー数は310万人です。ここまで伸ばせた要因を教えてください。
ぞのさんっ:
ほとんど誰もやってなかったことをしたのが要因ですね。
具体的には、「メイキング映像を見せる」「スマホで撮影する」の2点です。
今でこそ、本編に加えてメイキング映像を見せる手法は当たり前ですが、当時は珍しかったですし、スマホで撮影するなんてのもかなりレアでした。
「誰もやってなかったことをやり続けて、フォロワーを伸ばせた」
こんな成功体験があったからこそ、今AIに夢中なんだと思います。
https://www.tiktok.com/@zono.sann/video/6930246963476679937
TikTokは東南アジアにもフォロワーが多いという
「できなかったことができる」それがAI
ーーAI STUDIOでは、どのような取り組みをおこなっているのでしょうか。
ぞのさんっ:
AIを活用して、ハイクオリティな映像作品を効率的に制作しています。この「効率的」というのが大きなポイントなんです。
映像クリエイターは誰しも、自分の理想を追求して満足のいく作品を作りたいと思っているはずです。
しかしながら、予算や時間の制約があって、諦めざるを得ないケースも少なくないでしょう。実際、私も「工期が3か月で900万円かかる」と言われて制作を断念した企画もあります。
そこで、AIを活用すれば、ほとんどのことが解決できるのではないかと思ったんです。思い立ってすぐに、仲間を集めてAI STUDIOを開設しました。
メンバーは現在3人いて、生成AIの専門家やエンジニアがメインですね。
ーーツールの開発もされているのでしょうか。
ぞのさんっ:
開発は様子見の段階です。今は変化が速すぎるので、研究開発に投資しても、数か月後に既存のAIツールに上書きされてしまうリスクがあるんです。
何百万、何千万と投資したお金が一瞬で無駄になってしまう。考えただけでもこわいですよね。
もちろん、将来的には自社で独自ツールを開発したいと考えています。ですが、まだその段階ではないので、今はクリエイティブに注力していますね。
ーーAIツールを使った映像制作のプロセスが気になります。
Vook編集部@Vook_editor
「映像クリエイターを無敵にする。」をビジョンとするVookの公式アカウント。映像制作のナレッジやTips、様々なクリエイターへのインタビューなどを発信しています。
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