2020.07.04 (最終更新日: 2020.07.04)

映像データ管理の失敗を避けるためのアイデア

昨今のカメラの性能が向上に比例して、解像度も4K,6K,8Kと大きくなっていき、収録データもサイズの大きいものになってきています。撮影した映像素材をどう保存していくかに悩まれている方も多いのではないでしょうか?

私はノンフィクションを中心に制作を行っているため、撮影の収録データがかなり多く、その保存と管理にずっと頭を悩ませてきました。今回はそんな悩みの中から生み出してきた、どうやってデータ保存をしていくのがよいのかのワークフローを、個人的に実践しているやり方も含めてご紹介したいと思っています。参考にしていただければ幸いです。

データ管理で起こりうる事故とは?

データ管理で起きる失敗には以下のようなことがあるかなと思います。

●ストレージの故障(論理障害)
HDDやSSDの故障です。技術が進歩しても一定の確率でデータが読み書きできなくなるというリスクが付き纏うのがHDD/SSDなどのデジタルストレージの宿命です。
●ストレージの外的要因による破損(物理障害)
HDDを落としてしまった、水をかけて壊してしまったなどの破損です。
●ヒューマンエラー(人為的なミス)
コピーをしたと思ったのにしていなかった。もうコピーしたと思って削除したらコピーできていなかったなどの失敗です。
●ソフトウェアに関連するコピーのエラー
コピー作業を行ったのに、PCのソフトウェア的なエラーでうまくコピーできていなかったという場合です。

上記のようなリスクに、それぞれどのように対処するかを考えていきたいと思います。

01. ストレージの故障・機械的なリスクへの対応

HDDが外的な要因ではなく、自然に故障してしまうことは珍しいことではありません。突然HDDが動かなくなるという体験をした人も少なくないのではないかなと思います。このリスクに対する対処は、複数のストレージに同じデータを置いておくことで、ひとつのディスクが壊れても、他が無事という状況を作るということが考えられます。

そのために私は、編集するマシンによって2種類のワークフローを使い分けています。
▲1つ目のワークフローはデスクトップマシンで編集する場合です。このパターンではデスクトップPCに接続しているRAID5のHDD(詳しくは後述します)にまずデータをコピーして、そのRAID5HDDを編集用ストレージとしてそのまま使います。

ただ、それだけだとRAID5HDDが故障した場合、データがなくなってしまうので、保険をかけておくために同じデータをポータブルHDDにもコピーしておきます。そして編集が進むたびに、差分となったファイルをコピーしておくことで、もしもHDDが壊れた時にバックアップコピーをしたところまでは戻ることができるようになります。

作品が完成した後は、ある程度の時期までRAID5の中と、ポータブルHDDの両方にデータを残しておけば、どちらかのHDDが破損した場合でも、どちらかにデータが残っている可能性は高くなります。

▲もうひとつの方法はノートPCで編集を行い、ひとつの場所だけでなく、いろいろな場所に持ち歩いて編集を行いたい場合のワークフローです。この場合は、編集用に使うストレージをポータブルのものにして(できればスピード的にはSSDがオススメです)、バックアップをRAID5HDDにとっていきます。

映像が完成後の最終的なデータの保存は、編集に使っていたSSDをそのまま保存に使うのはコスト的に高くつくので、安価なポータブルHDDに保存用に再度コピーして、SSDは次の映像の編集用にまわすのがよいかなと思います。

● RAID(レイド)について

上記のワークフローの中でRAIDのハードディスクを使っていますが、これもストレージの故障に対するリスク回避の手段のひとつです。RAIDとは複数のHDDを組み合わせることで、速度や安全性を向上させるという方法です。いくつかの種類がありますが、詳しい構成については以下の記事で詳しくまとめられているので、そちらをご覧ください。

RAIDにはHDDのスピードを上げるための構成(RAID0など)と、ディスク故障の際のデータ復帰性を上げるための構成(RAID1など)がありますが、個人的にはそのどちらもある程度実現できるRAID5を使っています。

ただ、RAID5のストレージにデータを入れておけば絶対安心ということはなく、機械的な故障に対する安全性は上がりますが、自分で間違えてデータを消してしまった!というヒューマンエラーにはなす術がないので、前述したような別のストレージに定期的にコピーしておくということが必要かなと思っています。

● どのメーカーのHDD(ハードディスク)を選ぶのがよいのか?


HDDの故障について考える時、信頼性の高いメーカーのストレージを使うというのも非常に重要になってきます。個人的にはHDDを製造しているメーカーのものを購入するということを重視しています。

市販されている外付けHDDはいろいろなメーカーから発売されていますが、実は中身のHDD自体を製造しているメーカーは多くありません。世界的にもウエスタンデジタルグループ、シーゲート、東芝ストレージデバイスなどいくつかしかありません。それ以外のメーカーは上記のメーカーから仕入れたHDDに外装と電源、接続端子をつけて販売をしていることになります。HDDを製造しているメーカーは、外付けHDDでももちろん自社のHDDを使っており、かつどのグレードのHDDを使用しているか明記している場合も多いので安心して購入しやすいと、個人的には考えています。それ以外のメーカーはどこのHDDが中に入っているのかわからないことが多いので私は避けています。

また、その中でも以下の記事にもあるようにHGSTのHDDは故障率が低いと言われているので、個人的にはここのストレージを愛用しています。製品名としてはG-Technologyというブランドで発売されています。(元日立グループの企業で、今はウェスタンデジタルグループの会社です。)

● HDD故障率のメーカー・モデル別統計データ2019年版、故障率が最も高かったのは?

02. ストレージの外的要因による破損への対応

上記のワークフローBの場合のようにポータブルストレージを持ち歩いて編集するようなパターンの場合には、外的破損についても注意する必要があるかもしれません。特にアウトドアに持っていくような方は、耐久性や防水性を売りにしたSSD/HDDを使用すると安心かなと思います。G-Technology G-DRIVE Mobile SSD

また、ペリカンケースなどの防水ハードケースを運搬に使用するのもオススメです。鞄の中に放り込んでおいても、他の荷物に圧迫されて破損する心配などがなくなります。
PELICAN 1040

03. ヒューマンエラーへの対応

ここまで2つの種類のリスクへの想定できる対処方法についてみてきましたが、正直その2つよりも遥かに発生頻度も可能性も高いのがヒューマンエラーだと思っています。

「コピーしたと思っていたのに!」
「間違えてフォーマットしちゃった!」

絶対にやらないと思っていても、ふとした時に意識がそれて起きてしまうことはあります。そのために撮影したメディアは必ず決まった場所に保存する。 などのルールを決めておくことは有効だと思います。また、2つのカードに同時収録できるカメラの場合は必ずダブルでRECしておいて、コピーし終わって、片方のカードはフォーマットしても、もう片方は必ずそのまま残しておくなどの方法で、もしもの時に対処できる余地を作っておくことも有効です。

また、データをきちんとフォルダ分けして管理しておくことで、コピーし忘れたデータがないかもわかりやすくなります。以下で紹介されているフォルダ分けのルールなどを参考に自分なりのルールを作るのがよいと思います。

04. コピーエラーへの対応

映像データをコピーする時に、ファイルをドラッグ&ドロップする方も多いと思いますが、大容量のデータをコピーする時にそれは最適な方法ではありません。ごく稀にコピーが失敗していてデータが破損する場合があります。

「ベリファイ」という機能があるコピーソフトを使うことで、コピーした後に、そのファイルがきちんとコピーできているのか、ファイルサイズなどを元に確認をすることができます。たとえば以下のようなソフトウェアで、ベリファイが可能です。 RapidCopy(Mac用コピーソフト)
▲このようなシンプルな画面で、ベリファイにチェックを入れておけばコピー後に、きちんとコピーができているかの確認を自動で行ってくれます。

最後に

上記のようなことを気をつけると、データを失うリスクをかなり少なくできるかなと思います。せっかく良い撮影をしても、データがなくなってしまっては何の意味もなくなってしまいます。ぜひそのあたりのリスクにも気を遣って失敗のない制作ができることを心から祈っています。

最後になりますが、コピーしたデータが多くなってくると、どのストレージにどのデータが入っているか混乱してきてしまいます。そんなとき、以下のソフトウェアがオススメです。

そのHDD・SSDに何が入っているのかをスキャンして、カタログ化することによって、HDDがつながっていなくても、何が入っているかを検索・確認できるというソフトです。とても便利なので、こちらもぜひチェックしてみてください!

4クリップする
クリップしておくと
あとからいつでも
見返したりできます。

コメント

  • まだコメントはありません