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【サンプル配布あり】制作進行に必要な書類や契約書の悩みを解決! STEP4 見積書

2022.01.20 (最終更新日: 2023.02.14)

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予算表、PPM資料、業務委託契約書、出演承諾書…etc.。関わるスタッフが増え、制作の規模が大きくなるほど、必要書類の数は増え、作成にかかる手間も増えていく…そんなお悩みを抱える映像クリエイターは多いのではないでしょうか?

この連載では、なかなか学べる機会のないこうした契約書・制作管理書類に関する知識と情報を発信していきます。記事の中ですぐに使えるサンプルフォーマットも配布中です!

STEP4となる今回は、フリーランスの悩みの種になりやすい「見積書」をご紹介。 伊納達也さん松永エイゾーさんに、「見積書」の作成で悩めるポイントを伺いながら必要な項目や考え方についてお伝えしていきます。

  • 映像ディレクター / ビデオグラファー松永エイゾー

    映像ディレクター / ビデオグラファー。静岡県浜松市出身。2013年法政大学社会学部を卒業後、旅行会社と映像制作会社を経て独立。企業やスポーツ系PVや、ドキュメンタリーなどをメインに制作。人が持つ「熱」にフォーカスした、映像づくりをしている。

  • ノンフィクション・ビデオグラファー伊納達也

    ノンフィクション・ビデオグラファー。ウェブメディア向けのドキュメンタリーや、ショートフィルム、企業VPなどを制作。2019年からは栃木県鹿沼市にスタジオを移転して活動中。

見積もり提出の前に必ずまとめたい「実行予算管理表」がダウンロードできる【STEP3 実行予算管理】はこちら!

【サンプル配布あり】制作進行に必要な書類や契約書の悩みを解決! STEP3 実行予算管理表

予算表、PPM資料、業務委託契約書、出演承諾書…etc.。関わるスタッフが増え、制作の規模が大きくなるほど、必要書類の数は増え、作成にかかる手間も増えていく…そんなお悩みを抱える映像クリエイター...

見積もりは“2パターン”ある! 見積書作成で気をつけるポイントとは?

松永:個人でビデオグラファーを始めた時に、どれくらいの予算感で見積もりを出せば良いのかわからなくて困るということはよくありますよね。また 「普段から映像制作をしているプロダクションを介して受ける仕事」 と、 「普段は映像制作をしていない企業から直で依頼を受ける場合」 は見積もりを作る際にも違いがあるのかなと思います。

伊納:プロダクションを介して仕事を受ける場合は、ある程度おおよその規模や予算感がプロダクション側で整理された後に、ビデオグラファーやディレクターに依頼がくることが多い印象ですが、企業から直接受ける場合には困ることがありますね。後者では、ほとんど場合、企業はすでにもっている予算の中で映像を作るので、そこを念頭において見積書を作る必要があると思います。

松永:この二つのケースでは、予算の規模が全然違ってくると思います。
プロダクション仕事の場合、「クライアント→広告会社→プロダクション」 というながれのケースが多く、数千万単位でお金が動いていることはよくあることだと思います。広告会社がプロダクションに発注するのは、「お金をかけてでも信頼できる制作体制の下、クオリティの高いものを作りたい」という意志と、リスクヘッジでもあると思っていてその分予算が多くかけられることがあると思っています。

一方、クライアントから直接発注される場合はクライアントの映像制作経験がないことが多いですし、映像制作にはどのくらいお金がかかるのか、どれくらいのクオリティを前提にしているのかなどリテラシーの部分にもバラツキがあるのでコミュニケーションにギャップが生まれやすいと思っています。

ここでやみくもにプロダクションがCM制作で広告代理店に出すような金額感の見積もりをつくってしまうと、ミスマッチを起こしてしまうので注意が必要です。

伊納:そうなんですよね。クライアントからの直案件だと、内容の提案やプランを詰める前に見積もりを求められることも多く、その場合まだ撮影の概要がざっくりしすぎていて、具体的な撮影内容や、日数、演出などの話が出てきていない。だから、見積もりを出しづらかったり、互いに意思疎通がとれないまま見積書を出して、ミスマッチが起きてしまったりするんですよね。

クライアント側からしたら「このぐらいの情報量なら見積もりを出せるのではないか?」と思っているような場合でも、制作側としては「それだと見積もりが出せません」という状態だったりしますよね。

松永:そうですね。見積もりを出す前の段階で、どういった経緯や予算できている案件なのか、相手が求めている映像作品はどのくらいのクオリティなのかを、イメージして最適な答え(見積書)を出すことが一つのポイントになりますね。

👉事前の打ち合わせをしっかりと行うこと!

見積もりの出し方は、クライアントがプロダクションなのか、映像制作に不慣れな一般企業なのかによっても変わる! 映像制作に必要な予算感が分からないクライアントに対しては、見積もり前のヒアリングをしっかりと行いましょう。「どのくらいの予算感をイメージしているのか?」「どの程度の撮影をしたいのか」をしっかりと聞き出し、撮影や制作全体の規模感を把握することが見積もりを作る前段階として大事です。

見積もり項目は「相手がイメージしやすい」ものを

——個人のビデオグラファーとして活動している人にとって、見積書を作るときの「項目」や「金額」は悩むポイントかと思います。具体的にはどういった項目を入れるのか。そして金額はどのように算出すれば良いのでしょうか?

伊納:いくらで見積もりを出すのか、これはとても難しい問題です。人によって考え方はいろいろあると思います。特に今は「映像制作」と言ってもジャンルによって相場観にかなりの違いが生まれているような気がします。私としては、健康的な生活を続けていけて、制作の幅を広げるための実験や作品制作なども行っていくためには、1年間でどのくらいの金額が必要なのか、そして仕事に割くのは年間どのくらいの日数になるのかを考えて、それを元に理想的な単価を考えます。

その理想と自分が制作しているジャンルの相場を考えて、その間でバランスをとっていくというのが考え方としては、一番良いのかなと思っています。ただ、なかなかそう理想的には行かないとは思いますが......。項目の出し方としては、撮影の「人件費」や「機材代」の単価に、日数や時間など積み上げて出していますね。

松永:主な項目としては。

  • ディレクション費
  • 進行管理費
  • 撮影費
  • 編集費
  • MAスタジオ費
  • 雑費

こちらがベースになるのではないでしょうか。個人の場合、進行管理費などは入れていない人もいますね。なるべくクライアント側がイメージできるように項目を作ることが大切だと思います。進行管理費はわかりづらいので、ディレクション費に全て含めて計算するのもアリかと思います。

伊納コミュニケーションコストを金額に入れておかないといけないですよね。いわゆる自分のベースとなる「基本費」。ディレクション費か何かに含めておくことが大切です。そうしないと、撮影日数を少なくしたとき時や、何かの見積もり項目が減ったとき、残るのが経費だけになってしまい、利益が確保できなくなってしまいます。

松永:そこは難しいですよね。ざっくり大雑把に項目を分けていると信頼してもらいづらい。けれど、細かく項目を書いてしまうと「削れるところを削りたい」という交渉になった場合には自分の首を締めてしまうので、細かすぎるのも考えものです。

——例えば機材の項目に、使用するカメラの機種やレンズの種類などを記載したりするのはどうでしょうか?

松永:カメラの機種やレンズの種類などを記載しても、クライアント側に撮影の知識がない場合、正直意味がありません。それに、使用する機材を自分で狭めてしまうので、撮影での融通が効かなくなるのであまりオススメできません。

ただ、プロダクションから受注した案件の場合は細かく機材が指定されることがあります。直接企業とやりとりする場合とプロダクションを介して受ける場合では、項目の出し方が違ったりします。

👉見積もりの項目は「相手がイメージしやすい項目」で作ろう!

見積もりの項目は、クライアントにとって「イメージできるもの」を記載することが重要。クライアントに映像制作の知見がない場合こそ、何にどれくらいの金額がかかっているのかを明確にする必要があります。

見積書のサンプルをチェック! こうやって活用しよう

見積書はその名の通り……

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