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劇映画の脚本について

2022.08.23 (最終更新日: 2022.08.23)
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simulacrum

今まで、ドキュメンタリーを中心につくってきました。ですが、はじめて「劇映画」(短編映画)をつくりました。上記のリンク「simulacrum」という映画です。

「劇映画」をつくりたい。

ステップとして、そうかんがえる方は多いとおもいます。

なぜ「劇映画」をつくりたいのか。
それは、やはり「劇映画」が見せてくれる「物語」に感動するからにほかならないでしょう。自分もつくってみたい。そうおもうのは自然です。

では、なにが必要となってくるのでしょうか。

よいカメラ、マイクでしょうか。それも必要です。ですが、まずは、よい企画・脚本がもっとも大事で、必要なものとわたしはかんがえます。

どんなにいい機材で撮影・録音した映画も、物語がつまらなかったら低評価です。わたしたちはなにに感動をしてきたか…それを紐解けば、答えは自ずとわかるはずです。

よい「物語」です。そのために、よい企画・脚本を書かなければなりません。

ちなみに、企画・脚本の開発は、あまりお金をかけなくてもできる可能性があります。というのは、時間さえあれば企画・脚本についてスタッフと語り合えるからです。

「撮影」は、スケジュールのラストです。映画=撮影みたいに錯覚しがちですが、とにかく、設計図が大事で、これが、最も厄介です。

上記写真は拙作の短編映画「simulacrum」(3分)の脚本です。

脚本上にペンでなにやら書かれていますが、これは「監督割」と言います。監督が撮影監督にどのように撮って欲しいのかを理解してもらうために引く、補助線…が、わたしの「監督割」です。

監督が「割る」ことは、カメラポジションを変える、あるいはレンズワークしてもらうこと、です。なぜそこで割っているのかを撮影監督はかんがえます。役者の芝居次第で「割り」が増えることも減ることもあります。

脇道にそれました。脚本を書くことについて、です。

どのように脚本を書くのか…。これは、数多ある「脚本術の本」に書かれていることかとおもいます。多くを読んできたわけではないですが、わたしなりに解釈すると「人間関係」と「時間軸」が重要で、それを描いているのが「脚本」です。具体的にいえば、人物が時間の流れでどのように変わっていくのか。それがシナリオとしてあるのが「脚本」と言えます。

拙作「simulacrum」の場合、主な登場人物は二人です。理子奈という写真家と、師匠の浩志の物語です。「人物が時間の流れでどのように変わっていくのか」を描いています。この構造は、どんな映画でも同じかとおもいます。なぜなら、映画は時間芸術と呼ばれるくらいですから。

偉そうに書いてしまいました。

最後に、野田高梧さんの『シナリオ構造論』から引きます。「小津安二郎との共同脚本でも知られ、小津の盟友として活躍した」と著者紹介にあります。

ー映画がその芸術への道を発見したのは、まだわずかに三十年ほどの昔である。いい換えれば、その時期において映画はやっとシナリオの重要さを発見したのだともいえる。そのようにシナリオは若いのである。まだまだ固定した理論に支配されるような時期ではないし、また、固定した理論などがあるべきはずの時期でもない。(野田高梧著『シナリオ構造論』341-342p)

みなさま、まだまだ、道は遠そうです。頑張りましょう(オレもガンバル)。

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takamasaiwa

岩崎孝正@takamasaiwa

映画監督、映像作家です。長編劇映画「海鳴りがきこえる」を全国劇場公開。 日本の映像・映画文化の底上げのために、微力ながら映像を撮ったり、書いたりできればとおもいます。

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