今回はBlenderの物理演算機能について解説していきます。
Blenderではオブジェクトがどういう物体なのかを指定することで、物理演算を使った様々なシミュレーションを行うことができます。
簡単なやり方も紹介しているのでぜひ同じように手を動かしてみてください。
わかりやすく画像付きで解説します
📚合わせて読みたい、Blenderの使い方がまとめてわかる解説記事一覧はこちら!
【Blenderの使い方】これ1本ですべてがわかる! 完全ガイド
Vook編集部がお届けする「解説シリーズ Blender編」。 「Blender」の基本的な使い方から、かゆいところに手が届くTIPSまで、これからBlenderを使い始める人や制作の途中でつま...
物理演算とは
Blenderは3DCG制作に必要な機能を網羅したソフトウェアであり、物理演算機能もその一つです。物理演算とは、現実の物理現象を再現することで、よりリアルな表現を可能にする機能のことです。Blenderでの物理演算の特徴について説明します。
Blenderでの物理演算の特徴
Blenderの物理演算は、様々な種類のシミュレーションをサポートしています。剛体シミュレーション、流体シミュレーション、クロスシミュレーションなどがあり、どのような物体や現象でも再現することができます。
また、物理演算はBlenderのアニメーション機能と組み合わせて使用することができ、よりリアルな動きを表現することができます。
物理演算の種類
物理演算の項目はいくつかありますが、ここではよく使う項目を挙げていきます。
リジッドボディ
リジッドボディ(剛体シミュレーション)は、物体同士の衝突や重力などを再現する機能です。Blenderでは、剛体オブジェクトに物理演算を設定することで、物体同士の衝突や振動、回転運動などを再現することができます。
流体シミュレーション
流体シミュレーションは、液体やガスの挙動を再現する機能です。Blenderでは、流体をシミュレーションすることで、水の流れや噴出、爆発などを再現することができます。
クロスシミュレーション
クロスシミュレーションは、布や髪の毛、煙などの柔らかい物体の挙動を再現する機能です。Blenderでは、クロスシミュレーションを設定することで、柔らかい物体の動きや変形を再現することができます。
物理演算の設定方法
物理演算を行うには、まず対象のオブジェクトに物理演算を設定する必要があります。今回はリジッドボディを使ったシミュレーションの設定方法を解説します。
シミュレーション設定
例えば、ボウリングのピンを倒すアニメーションを作りたいとします。この場合、ピンや球に剛体シミュレーションを設定する必要があります。
以下のようにボーリング場に見立てたオブジェクトを用意します。
まずは球のオブジェクトを選んで物理演算の設定をしていきます。
右側のプロパティウィンドウから「物理演算プロパティ」を選択してください。
物理演算プロパティでは、どんな演算をさせたいのかを選択して、アニメーションや演算のルールを決めることができます。
今回は剛体シミュレーションを行いたいので「リジッドボディ」を選択しましょう。
これだけでデフォルトの物理演算が球に設定されました。
スペースでアニメーションを再生できます。
再生してみると、球が床を貫通して落ちていくのが確認できます。
そこで床面にも物理演算を設定して、球を受けられるようにします。
床面を選択した状態で、物理演算プロパティを開いてリジッドボディを設定します。
床面は重力やオブジェクトの影響を受けずに、ほかの物理演算が入ったオブジェクトを受け止めるような設定にしたいです。
そういう時はリジッドボディの設定から、タイプを「パッシブ」にしましょう。
これで球が坂を転がってくれるアニメーションになりました。
球が転がる速度が遅いのでもっと早く動くようにします。
球を選択して再度物理演算プロパティに入ります。
物理演算プロパティでは、仮想空間上での重さが設定できます。
実際のボーリングの球と同じくらいの6kgにしてみましょう。
重くしてもまだスピードが足らないので、今回は力技で球を動かします。
まず助走用の台を高くします。
ついでに力が減衰しないように、助走台の下側を伸ばしました。
実際のボーリングをイメージすると、床面がツルツルになっていますよね。
これもシミュレーションで再現しましょう。
物理演算プロパティの「表面の反応」から摩擦の強さを設定できます。
今回はあまり考えずに小さい値にしてしまいます。
これでピンのところまで球が届くようになりました。
次はピン側の設定を行います。
まずはピンを全てアクティブに設定しましょう。
アクティブにしただけだと以下のようになります。
床面と干渉してしまい、ピンが勝手に踊るような動きになっています。
球が当たるまで現在の位置で止まるように設定しましょう。
いくつかやり方はありますが、今回は「アニメ」を使った方法を紹介します。
物理演算プロパティから、「アニメ」の項目にチェックを入れます。
同時にすぐ右の点もクリックして置きましょう。
アニメは手動で動きの指示ができる機能で、点は現在のフレームにキーフレームを打ちます。
次に球が当たる直前まで時間を進めて、今度はアニメのチェックを外しましょう。
ここでもキーフレームを打ちます。
これでシミュレーションが球が当たる直前から開始されるので、違和感を抑えることができます。
この処理をすべてのピンに適用して、重さも調整すれば完成です。
まとめ
物理演算はさまざまなシミュレーションを行うことができる機能です。
今回触れた剛体シミュレーション、流体シミュレーション、クロスシミュレーション以外にも様々な種類が存在します。
物理演算を理解することでより高度な表現ができるようになりますが、シミュレーションによっては計算時間が長くなり、トラブルが発生することも少なくありません。
正確で効率的な物理シミュレーションを行うには、各種パラメータを理解し、慣れることが必要です。
TEXT/EDIT_河内誠/Makoto Kawauchi(Vook編集部)
基礎解説シリーズ|Blender@Blender_Tips
Vook編集部がお届けする「解説シリーズ」のBlenderアカウントです。Blenderの基本的な使い方から、かゆいところに手が届くTIPSまで、様々なナレッジ記事を発信していきます!(リクエストもぜひ)
コメントする