名を馳せるクリエイターには、必ず代表作が存在する。
本連載「代表作の、つくりかた」では、現代を代表する映像クリエイターのキャリアを紐解き、自身の代表作に出会うまでのきっかけと、出会うために必要な鍵に迫っていく。
今回は、ゲストとしてチェンコ塚越監督をお招きし、代表作が生まれるまでのストーリーを聞いた。チェンコ監督は、数々のCMやMV、そして長編映画監督作品 『MAN WITH A MISSION THE MOVIE -TRACE the HISTORY-』で知られるクリエイターだ。モデレーターは、映像クリエイターのララッシュアワー(以下、ララッシュ)さんが務めた。
- チェンコ塚越 / Chenko Tsukagoshi
1979年、東京生まれ。 多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。 2002年に株式会社東北新社へ入社し、2005年よりディレクターとしてCM/MV/ショートフィルムなどを幅広く制作。AdFest2006 Short Film Sessionでは日本代表に選出された。
2008年12月に東北新社を退社し、翌年にはフリーランスとして単身渡米。自主制作したショートフィルムは海外で高く評価され、TVCMもアメリカでOAされる。
2010年の帰国後はTHE DIRECTORS GUILDに参加して日本での活動を再開する一方、2011年には海外のプロダクションとマネージメント契約を締結。2016年に「チェンコ塚越」に改名し、2020年には初の長編映画監督作品『MAN WITH A MISSION THE MOVIE -TRACE the HISTORY-』が公開された。 これまで手がけた映像作品は、300本以上におよぶ。
X(Twitter):@tsukachenko
Instagram:@tsukachenko
https://chenko.site
※この記事は、動画『代表作の、つくりかた』の内容をまとめた記事です。
【チェンコ塚越監督:Part1】門を叩け!天才ではなかったからこそ行動した、チェンコ監督の経歴とは?
映像作家のキャリアに迫る 映像業界にいるプレイヤーの多くが、自身の作家性で仕事ができていないという、悩み・不満を抱えている。原因はいくつかあるが、その一つに「代表作」を生み出せていないという考え...
【チェンコ塚越監督:Part2】現場の○○は作品に出る。チェンコ監督が語る作品作りとは?
映像作家のキャリアに迫る 映像業界にいるプレイヤーの多くが、自身の作家性で仕事ができていないという、悩み・不満を抱えている。原因はいくつかあるが、その一つに「代表作」を生み出せていないという考え...
「面白そうなことは何でもやりたい」
ララッシュアワー(以下、ララッシュ):映像のキャリアが長いチェンコ塚越監督ですが、そもそも映像を始めるきっかけは何だったのでしょうか。
チェンコ塚越(以下、チェンコ):多摩美術大学で広告映像のコースの授業を受けたのが、最初の大きなきっかけです。その授業で教えてくれたのが、当時は東北新社に所属していて後に僕の師匠となる中島信也監督でした。その授業で「広告って面白いな」と学び、就活をして東北新社に入社しました。
僕は「面白そうなことは何でもやりたい」と思っています。イラストやデザイン、フィギュアやTシャツを作ったり、あとCGも。そして、その面白いことを短い秒数でミックスできるのがCMの魅力だと思っています。何でもやりたい僕にはぴったりだなと思い、気づいたら監督になっていたという感じです。
ララッシュ:東北新社へ入社した後、下積みはなかったのでしょうか?
チェンコ:もちろんいきなり監督はできなくて、PMあたりから映像制作の現場を叩き込まれました。2年間くらいは監督的なことは行わず、それこそ弁当発注や道路使用許可書などを全部やって、働きながら映像制作工程のイロハを学びました。その経験は今、すごく身になっていると感じています。
ララッシュ:そうして約2年間基礎を学び、実際にCM監督ができたのは3〜4年後くらいからでしたか?
チェンコ:いえ、3年目はまだ師匠のアシスタントをしていました。メジャーなCMの制作現場などで師匠のディレクションを見て学び、「こうなりたいな」というイメージを持ちました。
4年目で独り立ちしたのですが、いきなり仕事が来るわけではありません。最初は、本線ではなくてメイキングなどの付随するコンテンツを任されました。案件を手がける中で、広告代理店さんとの繋がりやプロデューサーとの信頼関係が生まれ、そこから仕事が来るようになる流れです。
順風満帆なキャリアから独立、より可能性を感じる海外へ飛び出した
ララッシュ:順風満帆なキャリアだったのかなと感じるのですが、それでも独立しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
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