仙人になった夫婦 第1話

老後の隠居生活のため92年に横浜から移住先を探していた川端さんご夫妻。十八成浜に佇む夕日の沈む浜の夕景に魅了され、妻の道子さんはご主人とここで「宮城の仙人になろう」と冗談のような約束を交わした。
しかし2004年ご主人が病で亡くなってしまうと、道子さんは田舎の血縁で繋がる住民にうまく馴染めずにいた。
2011年3月11日。道子さんの住む牡鹿半島は震源地に近く、強い威力を持った津波が押しては寄せ、自宅1階部分を大きく破壊した。海に蒔く予定で保管しておいたご主人のお骨を引き波に奪われた。
関東に住む子息達の要望を断ってまで、石巻の僻地にある半壊の自宅にとどまる道子さんーその理由は、初めて十八成浜に来た時にご主人と交わした約束を守るためだった。
震災後の劇的な環境の変化やストレス、そして加齢により不自由になる道子さん。彼女の「生」と「死」への思い。常に清廉とした精神を保ち続けた生き様。本映像では彼女の5年半に及ぶ人生を追いかけ、彼女の心の変化や復興に伴い移ろう周囲の環境などを記録した。その第1話である。

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ナレーション:小橋賢児さん