はじめまして、あふたー屋です。普段は静岡県のポスプロにてAfter Effects(以降Ae表記)を使用してCM/VP/番組タイトル等を制作しています。
私の自主制作映像をご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は多種多様なエフェクトを使ってオシャレな映える映像にするというより、自分が形にしてみたいモノを今ある知識/技術/努力(メインで使用するのは努力です)を使って「力業」で映像にしていくスタイルです。
今回は2つの作例をもとに、制作理由と制作工程を紹介していきます。
CASE①:時止めエフェクトォォオッ!!
私は子供の頃からアニメの世界観が好きで、いつか自分の周りの世界とアニメの世界を融合したいと思っていました。SNS活動もスタートして、今なら公開する場も見てくれる方達も多分いるし、その思いを元に何かしら形にしてみようと思い、制作を開始しました。
今回作ったのはアニメ上の特殊能力、「時止め」風のエフェクト。いろいろ作例を検索したもののちょっと自分のイメージと違ったので、チュートリアルではなく、アニメを何度も見返して自作することにしました。
幸い、いくつかのエフェクトを使用するだけでそれっぽいモノが出来ました!
作り方ァァアッ!!
時を止めたい映像素材を用意し、複製してエフェクト「反転」「CC Radial ScaleWipe」を適用します。「CC Radial ScaleWipe」のReverse Transitionにチェックを入れ、Completionの値を1秒:100%、1秒15フレーム目:0%とキーフレームを打ちます。
もう1回素材を複製し、エフェクト「色かぶり補正」「CC Radial ScaleWipe」を適用します。「色かぶり補正」の色合いの量を85%にし、「CC Radial ScaleWipe」のCompletionの値を2秒:100%、2秒10フレーム目:0%とキーフレームを打ちます。
調整レイヤーを追加し、エフェクト「CC Lens」「タービュレントディスプレイス」「トランスフォーム」を適用します。「CC Lens」のサイズを110とし、Convergenceの値を1秒:0、2秒目:50、2秒10フレーム目:0とキーフレームを打ちます。
「タービュレントディスプレイス」の量の値を1秒目:0、2秒目:150、2秒10フレーム目:0とキーフレームを打ち、展開のパラメータに「time*240」とエクスプレッションを書き加えます。
「タービュレントディスプレイス」を使ったことにより画が切れている部分があるので、エフェクト「トランスフォーム」のスケールを125%に拡大して誤魔化します。拡大したことにより多少サイズに余裕が生まれたので、位置のY軸を0フレーム目:650、2秒10フレーム目:400として少し画に動きを出しておきます。あまり動かすとまた画の切れ目が出てくるので気を付けましょう。
これで完成!!でもいいのですが、どうせならこだわりたいですよね。ここからもうひと手間を加えます。
1920×1920のコンポジションをあらたに作り、[Saber]とします。
コンポジションサイズに合わせた新規平面レイヤーを用意し、「楕円形ツール」をダブルクリック。真円が描かれたら、7フレーム目は小さな円、1秒目は少し大きな円、そして0フレーム目と1秒15フレーム目は円がなくなるくらい小さくなるよう、マスクパスを調整します。
マスクをかいた平面レイヤーに『Saber』を適用します。PresetからHotを選んでCore TypeをLayer Masksにし、Core Sizeの値を7フレーム、1秒目をともに2.00、0フレームと1秒15フレーム目を共に0とキーフレームを打ちます。これでブワッと広がってシュッと収束する『Saber』が完成しました。
- 8の平面レイヤーを複製します。描画モードは「加算」とし、レイヤーのスケールを160%まで拡大、120度回転させます。最上段に調整レイヤーをおいて「タービュレントディスプレイス」を適用し、量を200、サイズを35にします。
さて、かなり出来上がってきましたね。ここから最終ステップです!!
10.先ほどの[時止めコンポジション]に[Saber]コンポジションを読み込みます。調整レイヤーの下に配置し、描画モードを「差」にして1秒をイン点とします。
以上で「時止め」のエフェクトが完成しました!あとは 「ドォーン!」などのテロップを飛び込ませると、より時が止まった感じになります 。早くて簡単に作れるので、是非皆さんも時を止めてみてください!
CASE②:いつもの爆破ENDォォオッ!!
私の自主制作の映像ではよく爆破するシーンがあることから、ちまたで「爆破王」と言われているとかいないとか…(笑)。爆破しないと「なんだ、爆破しねーのかよ。チッ(舌打ち)」って言われるぐらいには、期待して頂いているみたいです。
今回は、そんな爆破エフェクトを 「Element3D」 を使って作っていきます!
作り方ァァアッ!!
まずは、爆破に使用するテクスチャを作っていきます。
1.VIDEO COPILOTのサイトからFuture City Packを任意の場所にDLします。
https://www.videocopilot.net/communit/
Aeを起動し、1920*1080のコンポジションを作成。名前は[fractalnoise]とします。
平面レイヤーを作り、フラクタルノイズを適用します。コントラストの値を280、明るさを−20とし、トランスフォームの中の「縦横比の固定」のチェックを外し、スケールの幅15、高さ200にします。
乱気流のオフセットを0フレーム目:960/5000、3秒目:960/-1000とし、展開のExpressionに「Time*500」と書き込みます。
「色かぶり補正」を適用し、「ホワイトマップ」をオレンジにし「色かぶり補正」に使ったオレンジと同じ色の平面レイヤーを用意し、上に配置します。
「リニアワイプ」を適用し、変換終了を80%、ワイプ角度0、境界のぼかしを450と設定します。「ラフエッジ」も適用し、エッジの種類を「スパイキー」、スケールを50、「幅または高さを伸縮」を-20、展開のExpressionに「Time*500」と書き込みます。
最後に平面レイヤーのスケールを110%に拡大します。
ここまでで爆破のテクスチャが完成です!!ここからは 「Element3D」 の中の設定を作っていきます。
10.「Element3D」に入ったら、DLしておいたFuture Cityから適当に3つほど選びます。この建物3つは「Group1」のままで大丈夫です。
「CREATE」ボタンから「PlaneModel」を選択し、こちらは「Group2」にします。さらに「SquareModel」を選択し、こちらは「Group3」とします。
「SquareModel」のmaterialをいじっていきます。「Textures」の「Diffuse」に「Custom Layer1」を選択します。「Illumination」のなかの「Color」をオレンジにして「Use Diffuse Color」にチェックを入れます。「Intensity」を450%、「Fresnel」の値を-0.75、「Fresnel Bias」を0.25とします。
これで「Element3D」の中の設定はOKです!! After Effectsに戻りましょう。
プリセット15mmのカメラを作り、カメラ制御用のヌルを作ります。ヌルの3Dボタンにチェックを入れ、ヌルが親、カメラが子となるようにリンクを結んでからヌルのX回転を-30、カメラのZ位置を-2500としておきます。
「Group1」の「Particle Replicator」の中の「Particle Count」を2000として「Replicator Shape」を「Plane」に変更します。「Scale X Y」のScaleはX30 、Z30にして、「Particle Look」の「Particle Size Random」を50%と設定します。
「Group2」の「Plane Model」の設定として、「Particle Look」の「Particle Size」を350にします。「Group3」の「Square Model」の設定では、「Particle Look」の「Particle Size」を0フレーム目:20、3秒:160とします。
最後に「Output」の項目で、「Show」を「Composite」から「Lighting」に変更します。今まで「Element3D」をいじってきたレイヤーを複製し、「Output」の「Show」を「Lighting」から「Illumination」に変更、描画モードを「加算」にします。
これで「Element3D」の設定は終了です!!最後にライティングの設定をしていきます。
新規ライトを作り、ライトの種類から「スポット」を選択し、カラーを少し暗めのオレンジにしてOKを押します。
スポットライトの位置をX960,Y-5000,Z0と変更します。ライトオプションから「円錐ぼかし」を30%にして「円錐頂角」を0フレーム目15°、3秒目65°とキーフレームを打ちます。これで爆炎に照らされた街並みになりました!!
爆炎に照らされていない街並みが真っ黒なので、「強度」を3%にしてポイントライトを一つ追加します。調整レイヤーを最上段に配置し「トーンカーブ」を適用します。
「レンズ補正」「ブラー(放射状)」も調整レイヤーに適用し、「視界」を80、「レンズディストーションを反転」にチェックを入れます。 「ブラー(放射状)」の「種類」を「回転」から「ズーム」に変更します。
最後にカメラに動きをつけます。カメラの位置を0フレーム目Z-2500、3秒目Z-3000として、カメラ制御のヌルの位置に「wiggle(15,50)」とExpressionを書き込みます。
これで「Element3D」を使った爆破エフェクトは完成です!!
22.あとはみんな大好きShockwaveともう一枚調整レイヤーを追加し、「露光量」「グロー」を適用し、フリッカー効果を追加しています。
この爆破エフェクトを使って、大事な人の誕生日を祝ってみるのもいいと思いますよ!
上達のコツは楽しむ事ォォオッ!!
これから映像制作を始める方や、少し迷っている方に、私なりのアドバイスを最後に書かせていただきます。
まずは難しいことやメンドクサイことを考えずに 【映像を楽しんで好きなモノを形にする】のが一番の上達方法 だと思います。好きでもない(楽しくもない)モノのために作り方を検索したり、何十分もあるチュートリアルを見るのは割とシンドイと思います。
しかし、自分のやりたいことのためなら幾らでも調べますし、何時間だってチュートリアルを見ていられると思います。私の場合はそれがアニメだったりしますが、そこからインスピレーションを得て作っている間は楽しくて仕方ありません。
楽しいことは続けていけますから、継続すれば技術は絶対に身に付きます。なので今話題のものでもなんでも良いので、**まずは自分の好きなモノからモチベーションを得て学んでいくのが上達への一番の近道**だと思います。
大変恐れ多いですが、技術的なアドバイスですと 「制作期間と尺は短いに越したことはない」 と思っています。
映像制作を開始しても、途中で飽きてしまったり挫折してしまっては、せっかくそこまで作った映像も日の目を見ずに終わってしまい、制作の楽しさや完成の達成感を味わえないと思います。また、長尺を飽きさせずに人に見続けてもらうには、テクニックや経験が必要です。
私の映像は一応ストーリーを作ってあるのですが、無駄なモノは極力排除し、短く解りやすくしているつもりです。それは見やすさのことも勿論あるのですが、なにより「壮大なストーリーや長尺は作っていて大変で飽きる」というのが一番の理由です。
「Aeで映像を作る」ことが目的なので、撮影に関しても大変そうな撮影は一切やらずに「一人撮影で部屋の中で可能」なモノだけを作ってます。画コンテもメンドクサイので描いていません(勿論描いた方良いです)。
あとは、視聴者さんが大爆笑はしなくても “口元が緩む”映像 を心がけています。
勿論仕事となったら上記のようにはいきませんし、大変な作業が待っています。苦手な画コンテが必要となり、描くこともあります。しかし、自主制作くらいは楽しいことだけを好き勝手にやっていけば良いと思っています(好き勝手にとは言え人や社会に迷惑が掛かるような事は絶対にNGです)。
そして自主制作を続けていけば、必ず実力は付いてきます! 私もまだまだ未熟者なので、自主制作を続けていきます!!皆様の楽しく幸せなAeライフを応援しております。
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